来日時にゴリ男が土産を持ってこなかったことに端を発し、ついに、いよいよ最悪レベルの大きな亀裂が入った私達の関係。

ゴリ男からも別れようかという提案があり、もはや縁の切れ目としか思えない段階に来ていた。
私がもしここでうん別れよう、と一言メールを返信すれば、それで二人の関係の何もかもが終わるだろう。
そして私は、そうするべきだろうと思っていた。

付き合い始めてからすぐに遠距離恋愛となり、とても恋人同士と言えるような状態ではないにも関わらず、1年近く形だけの交際を続けてきた。
今あるのは、自分は本当にゴリ男のことが好きなのかどうか、1年近く経過してもまだ確信が持てぬ現状。
なんだかんだと悩みながらどうにか別れずに来たが、結局のところ私は、ただ恋人がほしいという一心で関係をつなぎ留めてきただけなのではないだろうか。
もういい加減、この不毛な関係に終止符を打つべきではないのか。
1年という歳月は、気持ちのお試し期間として十分な期間だったはず。
もういい加減、結論を出さなければ。

私は深呼吸をして覚悟を決め、別れを告げるメールを返信すべくパソコンの電源を入れた。




が、その時、突如としてあの日の感情が思い出された。


脱喪女したった・・・フヒヒ!



私は思い出した。
気が遠くなるくらいの喪の月日を越え、ついにゴリ男という彼氏ができた、あの日の感情を。

ゴリ男から付き合おうと言われた時(はっきり言われたわけではないが)、複雑な気分ではあったが同時にしてやったりと喜んだのは、紛れもないこの私。

今私がゴリ男に別れのメールを返信することによって起こる変化は二つ。
一つは私とゴリ男が恋人同士ではなくなること。
そしてもう一つは私が喪へと還ること。
コミュ症で特技がなく、定職についていない、 オタク気質の喪の女に。
容姿も優れておらず友達も少ない、もうすぐ30歳になる喪の女に。



詰んでいる!!





はじめからわかっていたことだったが、私はけっこう詰んでいるスペックの人間だった。
何の取り柄もなければ、将来への展望も皆無の、救えないアラサー女。
それを運良く偶然彼氏ができて浮かれてつけ上がり、すっかりそのことを忘れていた気がする。

本来ゴミ収集場のウ◯コみたいな存在だった私でも、恋人がいるというステータスが付加されたことで、以前と比べれば少しは人間らしい日々を送れていたのではないだろうか、この一年間?

“思い出してごらんよ、長く厳しい喪の時代を。
トチ狂って断食道場なんぞに駆け込んだこともあっただろう。
このメールを送ったら、またあの頃に逆戻りだよ。”

断食


そんな天使か悪魔かわからない何者かの声が、私の頭の中で鳴り響いていた。
(なんかこんなことが前にもあった気がする・・・)

そして私は、書き始めていたメールの内容を冷静に書き換えるのであった。

「この前は、ゴメンネ」